「ハニワと土偶」と何が関係しているのか? 実はこの顔は、縄文時代の顔面把手(とって)付土器が元になっていることが、作者のスケッチから分かる。桂ゆきはこの顔を気に入ったようで、他の作品にも繰り返し登場させている。戦後の芸術家たちにとって縄文土器や土偶は、戦前から浸透していた日本の神話イメージを覆す別の「伝統」像として高い注目を集めた。単に西洋に倣うのではなく、かといって戦中の国粋主義に後戻りするわけにもいかない。その模索の中で見いだされたのが、「新しい土着」としての、民衆的でなおかつ怪物のような土器・土偶であったのだ。
INFORMATION
「ハニワと土偶の近代」展 東京国立近代美術館
<会 期>12月22日(日)まで。会期中展示替えあり
<会 場>東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)。
展覧会公式サイト:https://haniwadogu-kindai.jp/
2024年11月13日 毎日新聞・地方版 掲載