岡本太郎が「縄文土器論」を発表したのと同じ年に制作された作品。縄文土器を絶賛したことで知られる岡本だが、意外と本人の作品にはストレートに縄文のモチーフは出てこない。彼にとって縄文とはあくまで態度のことだったからだ。この作品はもともと前衛的な生け花のための花器として制作され、頭部の側面や腕の部分の穴に花を生けられる。この頃岡本は、生け花やお茶、陶芸など、日本の伝統とされてきた文化に前衛のスタイルを注入することに熱心だった。岡本に限らず、この時期の芸術家にとって、伝統と対決し更新することが急務だったのだ。
INFORMATION
「ハニワと土偶の近代」展 東京国立近代美術館
<会 期>12月22日(日)まで。会期中展示替えあり
<会 場>東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園)
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)。
展覧会公式サイト:https://haniwadogu-kindai.jp/
2024年11月6日 毎日新聞・地方版 掲載