
写真の香水瓶を制作した日本陶器の歴史は1876年の貿易商社森村組の創業から始まる。日本から漆器やびょうぶ、掛け軸などの伝統的な雑貨や純和風なデザインの陶磁器を輸出し、アメリカで大ヒット。さらに事業拡大のため、よりアメリカのニーズに合わせた陶磁器製造の研究を進め、1904年、現在の愛知県名古屋市に陶磁器の製造工場日本陶器合名会社(現ノリタケ株式会社)を設立する。
当時の生活様式や芸術の流行をデザインに取り入れ製品化するのが特徴の一つで、純白で均一な形のディナーセットや、複雑な曲線を持ち、花や樹木などの自然をモチーフにしたアール・ヌーボー様式の製品、アール・デコ様式の製品などが作られた。これらの製品は現在オールドノリタケと呼ばれ、その優れた技術、完成度の高さ、鮮やかな色彩などが、世界中のコレクターを魅了している。
この作品は1920~30年代に制作された香水瓶で、シンプルな器形に手描きで絵付けが施されている。また、オールドノリタケ、アール・デコの特徴ともいえるラスター彩により、器全体が上品な光沢をたたえている。
INFORMATION
特別企画展「香りの装い~香水瓶をめぐる軌跡~」
<会 期>2025年1月13日(月・祝)まで。午前10時~午後5時半(入館は同5時まで)。会期中無休
<会 場>箱根ガラスの森美術館(箱根町仙石原 電話0460・86・3111 https://www.hakone-garasunomori.jp))
<入館料>一般1800円、高校・大学生1300円、小・中学生600円
主 催 箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
後 援 箱根町
協 力 箱根DMO(一般財団法人箱根町観光協会)、小田急グループ▽特別協力 海の見える杜美術館、高砂香料工業
特別協力 海の見える杜美術館、高砂香料工業
2024年10月12日 毎日新聞・地方版 掲載