石崎光瑤《白孔雀》(右隻) 大正11(1922)年 大阪中之島美術館蔵(10月1日~11月10日展示)

【展覧会】
「生誕140年記念 石崎光瑤」 作品紹介/下
花鳥を愛した画家の美の粋

文:植田彩芳子(京都文化博物館主任学芸員)

日本美術

 緑と白の鮮烈な対比、特に羽を広げた白孔雀の神々しい姿に目を奪われる。石崎光瑤が第4回帝展に出品した作品だ。六曲一双の屛風(びょうぶ)だが、その右隻には、プラタナスの葉の生い茂る中、雌雄の白孔雀が描かれる。羽を広げたオスの前には、単純化されたフォルムのメスが描かれる。キャラクターのようで可愛らしい。

 石崎光瑤は花鳥画を得意とした画家だが、本当に鳥が好きだったのだろう、スケッチブックにも鳥が多く描かれており、写生にも優れた画家の観察眼が光る。しかし、光瑤はただ対象を写実的に写し取っているだけではない。写生をふまえた上で、美しく華麗な、時に装飾的な、絵画世界に再構成してみせるのである。その世界は夢のように美しい。花を愛し、鳥を愛した画家の作品に、心ゆだねてみてはいかがだろうか。

INFORMATION

生誕140年記念 石崎光瑤

<会期>11月10日(日)まで
<会場>京都文化博物館(京都市中京区三条高倉、075・222・0888)

2024年9月25日 毎日新聞・京都版 掲載

シェアする