石崎光瑤 奥殿襖絵《虹雉》(部分) 昭和9(1934)年 金剛峯寺蔵

【展覧会】
「生誕140年記念 石崎光瑤」 作品紹介/中
インド取材し新奇の境地

文:植田彩芳子(京都文化博物館主任学芸員)

日本美術

 昭和8(1933)年に高野山・金剛峯寺の奥殿が新築され、石崎光瑤はその襖(ふすま)絵の揮毫(きごう)を任された。光瑤は金剛峯寺の寺号にちなんで、金剛宝土とも呼ばれたダージリン地方を中心とした花鳥で襖を満たすという構想を立てる。そして取材のために2度目のインド旅行を行った。

 ここで描かれているのは、ヒマラヤシャクナゲの大樹に、ニジキジという美しい羽を持つ種類のキジが遊ぶ様子で、背景にはヒマラヤの山並みが見える。大樹を配した襖絵の構成は、京狩野など古画に学んだと考えられるが、インドに取材した新奇な主題で、華やかな、独自の絵画空間を作り上げた。本展は、通常非公開の奥殿襖絵20面(うち8面は寺外初公開)を一挙に見ることができる貴重な機会となっている。

INFORMATION

生誕140年記念 石崎光瑤

<会期>11月10日(日)まで
<会場>京都文化博物館(京都市中京区三条高倉、075・222・0888)

2024年9月23日 毎日新聞・京都版 掲載

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