「エロイカより愛をこめて」など数多くの少女漫画作品で読者を魅了し続けている青池保子さんの特別展「青池保子展 CONTRAIL 航跡のかがやき」(下関市立美術館、毎日新聞社、tysテレビ山口主催、秋田書店特別協力)が31日、下関市長府黒門東町の市立美術館で開幕した。初日から大勢のファンが訪れ、華麗に彩られた原画や、創作の秘密に迫るデッサンなど約300点の作品の一つ一つに見入っていた。
青池さんは下関市長府の出身で、15歳で漫画家デビューし主にヨーロッパを舞台にした壮大な物語を創作。「エロイカ――」のほか、「イブの息子たち」「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」といった作品群は性別、年代を超えて愛されている。今回の特別展は青池さんの漫画家生活60周年を記念して開催。青池さんが地元で個展を開くのは初めてという。
開会式では主催者を代表して北島洋平・下関市副市長があいさつし、「青池さんは素晴らしいストーリーを作ってこられ、少女漫画の世界を広げてきた人」と絶賛。来賓の香川昌則・下関市議会議長は「青池さんは長府で生まれ育ち、我々にとって誇りです」とたたえた。
台風10号の影響で青池さん自身は開会式に出席できなかったが「予期せぬ台風の襲来により、出席がかなわず残念。私の作品で皆さまが楽しんでくださいますよう、心より願っています」というコメントを寄せた。
会場には、今回の個展開催のため特別に制作された、「エロイカ――」の登場人物と赤間神宮(下関市阿弥陀寺町)を描いたカラーイラストを展示。数多くのグッズも販売され、下関で初めてお披露目される商品も多い。会場を訪れていた下関市の林良江さん(64)は「小学生の頃からのファン。以前ドイツに行った時、青池先生の世界そのものだと驚きました。先生の作品は個性が際立っていて、他の漫画家さんとは違います」と興奮気味だった。
◇サイン会、講座予定
10月14日まで開催。期間中に青池さん自身のサイン会を予定しているほか、美術館学芸員による講座「青池作品から見る西洋美術史」(9月14、21日)もある。月曜休館(祝日の9月16日と23日、10月14日は開館)。一般1400円、大学生1200円、18歳以下無料。平日の観覧は各200円引き。
2024年9月1日 毎日新聞・地方版 掲載