「踊る男女像香水瓶」1751~54年ごろ、イギリス、ガール・イン・ア・スイング窯、箱根ガラスの森美術館蔵

 特別企画展「香りの装い~香水瓶をめぐる軌跡~」が開かれている。展示される主な作品を紹介する。

 ヨーロッパでの磁器製造はドイツ、マイセンから始まった。13世紀に中国から伝わった磁器は、その艶やかで美しい姿から瞬く間にヨーロッパ中の宮廷人たちを魅了した。各国で製造を試みるも納得のいく結果が得られないなか、錬金術師のベットガーが1708年にその製造方法を見出した。その後、製法はフランスやベネチア、イギリスへと伝わった。同じ頃、宮廷人は、貴重な香料をぜいたくに使い、自分好みに調合した香水を調香師に作らせていた。磁器の登場はその香りを入れる至高の器として、香水とともに華やかに時代を彩っていった。

 本作品は、1749年に宝飾商人シャルル・グーインによって設立された、イギリスのガール・イン・ア・スイング窯で制作された。窯名は同窯制作のブランコに乗った少女の彫像に由来する。彫像に定評があり、それらをモデルに香水瓶を創り出し人気を博した。仲むつまじい男女の踊る姿が表現され、バラの上に小鳥の栓が付けられた愛らしい香水瓶である。色彩の美しさ、手足の動き、顔の表情に至るまで精緻に造形され、職人の技術の高さがうかがえる逸品である。

INFORMATION

特別企画展「香りの装い~香水瓶をめぐる軌跡~」

<会 期>2025年1月13日(月・祝)まで。午前10時~午後5時半(入館は同5時まで)。会期中無休
<会 場>箱根ガラスの森美術館(神奈川県箱根町仙石原 電話0460・86・3111 https://www.hakone-garasunomori.jp
<入館料>一般1800円、高校・大学生1300円、小・中学生600円

主  催:箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
後  援:箱根町
協  力:箱根DMO(一般財団法人箱根町観光協会)、小田急グループ
特別協力:海の見える杜美術館、高砂香料工業

2024年8月27日 毎日新聞・地方版 掲載

シェアする