菅木志雄展「有でもなく無でもなく」より

 美術家、菅木志雄(1944年生まれ)の個展「有でもなく無でもなく」が東京・六本木の小山登美夫ギャラリー(03・6434・7225)で開催中(7月9日まで)だ。

 目を引くのは床に置いた新作「集分化」=写真。茶色い紙を重ね、四辺を山形にちぎっている。ちぎってできた凹の形と、周囲に置かれた紙片。ごく単純な行為から、ちぎるという動作や、紙片と紙の関係が浮かんでくる。紙や木の茶色や紙の薄さと、紙片のなだらかな曲線とがあいまって、軽やかな印象だ。

 木片を用いたレリーフ状の作品が多いが、「間景」は折り曲げたトタンを白い面に貼り付けた作品。黒とグレーの表裏面を生かし、複雑な陰影を与えている。同展は東京・青山のスパイラルガーデンでも11日まで開催。

2022年6月29日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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