「作品のコレクション(収集)は、僕にとって制作の延長線上にあり、創造行為でもある」。そう語る彫刻家の植松奎二(けいじ)さんによる「植松奎二 コレクションのある風景 Creation-Connection-Collection-Conception」が神戸市灘区のBBプラザ美術館で開かれている。植松さんが50年以上かけて集めた国内外の作家のコレクション約200点のうち、57人の85点を展示。さらに、それぞれの作品と呼応する植松さんの作品12点も並ぶ。
植松さんは1947年、神戸市生まれ。長らくドイツと日本を拠点に創作を続けている。そんな作家生活の中で出合い、刺激を受けた作家たちと交換したり、購入したりして集めてきたコレクションだ。「僕にとって、作家との出会いと作品との対話が重要。この会場でも作品同士が対話している」と話す。
展示は「言葉」「均衡」「光」などのキーワードごとに作品を組み合わせた。例えば「ナンセンス」の項には、作家としての思考や物事の捉え方、制作態度などに強く共感したという村岡三郎(28~2013年)の作品が並ぶ。植松さんは「ナンセンスこそ、美術を美術たらしめている重要な要素の一つ」と話す。植松さんお気に入りの「負の銅貨」(73年)は、2枚の10円銅貨を何カ月もかけてこすり合わせ、図柄が消えてただの丸い銅板になった作品だ。「何カ月もポケットの中で10円玉をすり合わせていたことを考えるとおかしい」

20年以上、アトリエの壁にかけていたイブ・クライン(28~62年)の「『ディマンシュ(日曜)』:1日限りの新聞」(60年)は、クラインが2階から飛び出す瞬間を写した「空虚への飛翔(ひしょう)」を掲載した新聞形式の作品。クラインは実際に建物から飛び降り、骨折したという。本展では「飛ぶ・浮く」の項に展示されているが、これもナンセンスの極みといえる。
植松さんの思考の一部をのぞけるような楽しさに満ちている。7月20日まで。
2026年6月29日 毎日新聞・東京夕刊 掲載