
ベテラン作家たちが「戦争」を振り返る「戦後80年 1945年の記憶」が東京・銀座のギャラリー58(03・3561・9177)で開催中だ。節目の年である一方、戦争と美術について正面から扱う企画が少ないなか、貴重な機会となっている。
参加作家は、故赤瀬川原平さんと米国在住の篠原有司男さん、そして石内都、中村宏、吉野辰海の各氏=写真。吉野さんと篠原さんはギャラリーの提案で子供のころの戦争体験を描いたが、両者は対照的だ。近年「戦争画」を描き始めた中村さんは記憶のなかの空襲を表し、戦後生まれで米軍基地の街、横須賀で育った石内さんも被爆者の遺品をライフワークとして撮り続けている。
遺族の協力により、風刺の利いたイラスト「ピカドン」などを出品した赤瀬川さんをはじめ、それぞれの表現の根底にある戦争を改めて見つめることができる。18日まで。
2025年7月3日 毎日新聞・東京夕刊 掲載