
横浜・みなとみらい線の新高島駅構内に今月、新たな芸術複合施設「Art Center NEW(アートセンターニュー)」が誕生した。東京・吉祥寺で同様のアートスペースを2008年から展開している一般社団法人「Ongoing(オンゴーイング)」(小川希代表)が運営を担う。
施設名の「ニュー」が意味する通り、「新しい」「これまでになかった」をコンセプトに、現代アートの展覧会を中心として、アートフェスティバル、音楽ライブ、アートスクールやワークショップ、音楽イベントなど、芸術や文化にまつわるさまざまな活動を展開していく。プロジェクトマネジャーの秋葉大介さんは「活動を通して、新しい価値観や、これまでになかった視点を提案し、新しさとは何かを問い続けるような場所にしたい」と話す。
現在、開催されているオープン記念展「NEW Days」では、「新しい日々」を「日々変わらずに続いていくこと」「変化していくこと」と定義し、テーマとした。大学を卒業したばかりの若手から60代のベテランまで、幅広い年代の作家8人が、絵画や映像、インスタレーションで、それぞれの「新しい日」を見せる。
下司悠太さんの「みそ仕込み」「贅沢に生を消費する」は、会期初日に参加者と仕込んだみそと自身が仕込んだみそを、その仕込み過程の映像とともに展示する。会期中も発酵し続けるみそは、会期終了後も会場内に貯蔵され、そのまま発酵し続ける。

トモトシさんは「ずっと変わらずに続くと思われていたことが、突然終わる」瞬間を表現する。「サッポロの雄叫び」は、自転車の前かごに入った缶ビールが、走行の揺れや衝撃で傷つき、しまいに破裂するまでを映像で見せ、「NEW Nights」では深夜のスカイツリーの消灯、「閉店のトレーニング」ではコンビニエンスストアの閉店を映し出す。
三田村光土里さんの作品「NEW Daysのための終わらないインスタレーション」は公開制作。三田村さんは会期中の金、土、日曜に来場して制作し、作品はそのたびに形を変えてゆく。
アートセンターニューの「新しい日々」は始まったばかりだ。7月20日まで。
2025年6月30日 毎日新聞・東京夕刊 掲載