
◇世界に3件 「羽人」と待ってます
非常に幅広く、実にさまざまなものがある当館のコレクションですが、館蔵品として展示や紹介するものは、これまで案外限られていました。そこで本展では皆さんご存じの「名品」はもちろん、「珍品」も紹介し、コレクションの知られざる魅力をお伝えしたいと考えています。リニューアルした当館の「広報大使」に就任した「羽人(うじん)」(青銅鍍金銀(ときんぎん) 羽人)も、珍品の一つです。中国の仙人の姿をした後漢時代の金工品で、類品は世界にたった2件。両手を広げたような仕草もユーモラスな羽人とともに、皆さんのお越しをお待ちしています。
私の〝推し〟は将軍家への献上品として知られる鍋島焼です。本展出品の4件のうち2件は鍋島焼らしい作品なのですが、ご覧いただきたいのは残りの2件の方。「本当に鍋島焼か」と疑問符が付きそうな珍しい作品を、あえて選んでいます。私が学芸員として心がけているのは、コレクションを「死蔵」させないこと。自分では判断に迷うものも、多くの人の目に触れることで、新たな発見があるかもしれないからです。「皆さんはどう思いますか?」という問いかけも含めて今回、出品しますので、ぜひ皆さんの目で確かめてみてください。

*紹介した作品はいずれも大阪市立美術館所蔵
2025年2月27日 毎日新聞・大阪朝刊 掲載