展覧会に出品される国宝「孔雀明王像」=京都・仁和寺所蔵

【展覧会】
宋・元の仏教画 一堂に
京都国立博物館で9月 国宝など150件

文:花澤茂人(毎日新聞記者)

仏教美術

国宝

 京都国立博物館(京都市東山区)は17日、9月20日から開催する特別展「宋元(そうげん)仏画-蒼海(うみ)を越えたほとけたち」(同博物館、毎日新聞社など主催)の概要を発表した。中国の宋、元時代に描かれ、日本で大切に伝えられてきた仏画など約150件を展示。その約半数が国宝か重要文化財で、東アジア仏教絵画の最高峰ともたたえられるその美を味わえる内容だ。

 宋は10世紀に中国を統一し、開封に都を置いた前期を「北宋」、臨安に遷都して以降を「南宋」と呼ぶ。知的エリート層の活躍で、洗練された高度な文化が栄えた。元はモンゴル人によって13世紀に打ち立てられ、国際色豊かな文化が花開いた。日本では平安時代中期から南北朝時代にかけ、多くの僧侶らが海を渡り数々の文物を持ち帰った。宋元時代の仏画は中国ではほとんどが失われたが、日本では信仰対象や特別な価値を持つものとして大切に伝えられてきた。

 北宋時代の「孔雀(くじゃく)明王像」(国宝、仁和寺所蔵)は三面六臂(ろっぴ)の珍しい姿で、明王の穏やかな表情や美しく広がるクジャクの羽などが見どころ。南宋時代の画僧、牧谿(もっけい)の「観音猿鶴(えんかく)図」(国宝、大徳寺所蔵)と、その影響を受けた日本の絵師・長谷川等伯の「枯木猿猴(えんこう)図」(重要文化財、龍泉庵所蔵)なども並ぶ。担当の森橋なつみ研究員は「絵画としてすぐれているだけでなく、日本で中世以降にお手本として大切にされてきた美術の源流をたどる機会にしたい」と語る。会期は11月16日まで。

2025年2月18日 毎日新聞・東京朝刊 掲載

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