情緒豊かな女性像で知られる日本画家、鏑木清方(かぶらききよかた)(1878~1972年)による左右対幅(ついふく)の作品「ためさるゝ日」が40年ぶりにそろって公開されることが決まった。18日から東京国立近代美術館(東京・竹橋)で開幕する「没後50年 鏑木清方展」(毎日新聞社など主催)で展示する。5月27日から京都国立近代美術館に巡回する。

画像提供:小学館

 

 

 左幅は個人が所蔵しており、30年間、展覧会などで公開されることはなかった。鎌倉市鏑木清方記念美術館が所蔵する右幅と合わせての公開は82年以来となる。

 1918年制作の本作は縦180㌢を超える大作。かつてキリシタンでないことを証明するために行われていた踏み絵が長崎の年中行事となった江戸時代中期ごろの風俗を描いている。左幅には、険しい表情で足を踏み出そうとする遊女が描かれており、量感ある前帯や、オランダ船が刺しゅうされた打ち掛けなどが深みのある色で表されている。右幅の2人は順番を待っているのだろう。

 もともと対幅の作品として描かれた本作だが、その年の文展に、清方は右幅を出品しなかった。「主題が散漫になる」との友人の忠告に従ったなどとされる。本展京都会場を担当する京都国立近代美術館の小倉実子学芸員は「両方一緒に見てみたり、片方だけを見てみたりして、清方の当時の判断について想像を巡らせてほしい」と話す。

 清方は一時期、自らの作品を3段階で自己採点していた。採点が残る全約500点のうち最高点だったのはわずか16点。本作はそのうちの1点だが、他のほとんどが所在不明だ。東京会場では5月8日までの会期中、両方そろって見られるのは3月18日から4月3日まで。京都会場は未定。

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